自分に合うフォームを考える
目次
はじめに
「良いといわれるフォームを試したら、かえって感覚が悪くなった」「しっくりこない状態から戻れない」。フォーム改善に真剣に取り組むほど、こうした経験をすることがあります。
私たちは、人によって骨格が違えば、自然な姿勢や動き方も違うと考えています。この記事では、フォームを変えてから調子が悪くなった時に、自分の骨格に合う動きという視点から、どのように見直していくかについてお話しします。
この記事の要点
- 一般的に良いとされるフォームが、自分にも合うとは限らない。
- HURECは、骨格の個体差によって自然な姿勢や動き方が異なると考える。
- アドバイスを試したうえで、自分に合うか、パフォーマンスにつながるかを考える。
- 普段の姿勢や歩き方も含め、自分に合う動き方を知ることが重要。
理想のフォームを、一つの形だけで考えない
一般的に良いとされるフォームを試しても、しっくりこないことがあります。私たちは、そのフォームが自分の骨格や動きの特徴に合っていない可能性もあると考えています。
骨格には一人ひとり違いがあり、自然な姿勢や動き方も異なるというのが、私たちの考え方です。全員が同じフォームを目指すのではなく、自分に合う動きかどうかを見ていくことが非常に重要だと考えています。 ここからは、研究チームにその考え方を聞いていきます。
編集部が聞く、フォーム改善に対する研究チームの考え方
編集部
まず、理想のフォームを目指して練習しても、うまくいかないことはあるのでしょうか。
研究チーム
あります。真剣に競技に取り組んできた方から、良いとされるフォームを試したのに、むしろ感覚が悪くなった、しっくりこなくなった、という話をよく聞きます。
そもそも、理想のフォームとは何か、という議論は、あらゆるスポーツにあるのではないかなと思います。陸上競技でも、一番いい走り方や跳び方はどんなものなのか、指導者の技術論や、バイオメカニクス、つまり体の動きを力学的に捉える観点から、長年研究されてきています。
私が長年関わってきたテニスや、同じスイング競技のゴルフ、野球でも、どのフォームが一番いいのかは、本当に話に花が咲く議題ですよね。ただ、そこで良いとされるフォームを試しても、本人にとってはうまく合わないことがあるんです。
編集部
一般的に良いとされるフォームを試して、かえって調子が悪くなるのはなぜでしょうか。
研究チーム
私たちがここで皆さんにお伝えしたいのは、全員に共通する一つの良いフォームがあるわけではない、ということです。私たちが長年研究してきた専門領域ですけれども、そもそも骨格は、Aさん、Bさん、Cさんで違うんですね。
成人になって形成された骨格の基本的なバランスや、骨の長さ、太さなどを、自分の意思で大きく変えることは難しいですよね。
骨格は動きにものすごく重要な影響を与えると考えています。骨格が違うと、姿勢を制御する筋肉にも違いが出てくる。言ってみれば、自然な姿勢がもう違うんですよ。歩き方や走り方も変わってくるんですね。

編集部
骨格が違うと、同じ競技のフォームにも違いが出るのでしょうか。
研究チーム
はい。同じ競技でも、骨格のタイプによって自然な動き方は異なると考えています。
例えば、ある選手は、腕の動きを主体的に動かした方が全身がうまく動く。ある人は逆に、足の方が主体的に動いた方が、全身がうまく連動する。
同じ腕の動きでも、前方に振ったり、前方に力を発揮した方がうまく機能する人もいれば、逆に後方に腕を振っていく人もいます。
私たちは今、16タイプに分類して、骨格タイプごとに異なる動作の特徴を捉え、それに合わせたトレーニングなどを提供しています。
スポーツのフォームも、同じタイプだとかなり似た特徴になりますけれども、異なるタイプだと、同じ競技、同じ種目で、同じようなショットを打っている場面や、走っている場面でも、全然動きが違うんですね。
トップオブトップのアスリートが、あんなに動きが違うのに、全員同じ動きを目指すというのは、根本的に破綻していると思うんですよね。ここはぜひ、私から皆さんにお伝えしたいことです。

編集部
では、コーチやトレーナーのアドバイスは、どう受け止めればよいでしょうか。
研究チーム
例えば、弊社の顧問を務めるコーチから聞いた、トップレベルで活躍する女子テニス選手の話があります。その選手のフォームは特徴的で、一般的に良いといわれる打点より、かなり後ろで打っているんですね。
テニスでは、体より前の方で打つと体重が乗るとか、連動のメカニズムから前の方がいい、といわれることが多い。でも、その選手は後ろで打点を捉える。これに対して、多くのコーチやトレーナーが、修正しようという働きかけを何度もしたらしいんですよね。
最初は素直にやってみるらしいのですが、良いといわれる打点の位置に修正すると、むしろボールの威力が減ってしまう、スピードが落ちてしまう、コントロールが効かなくなってしまう。そのコーチの言葉を使うなら、「彼女らしくないようなボールになってしまう」と聞きました。
その時に、一定期間は試すけれど、合わないと思ったら、このアドバイスは一回受け入れたうえで、手放していくらしいんですよね。一度はやるけれども、合わなければ手放す。自分に合うものは入れる、合わないものは捨てる。そういう思考で、ずっと成長してきた選手だという話を聞くんです。
アドバイスは一度試したうえで、自分に合うものを取り入れ、合わないものは手放す。そうした受け止め方が大切だと考えています。

編集部
ほかのトップアスリートも、その選手のように、取り入れるアドバイスを選んでいるのでしょうか。
研究チーム
さまざまな競技のトップアスリートと仕事をする中で、自分に合う・合わないという感覚を大切にしている方が多いと感じます。
一般的にいいということより、自分にとって合うのかどうかという感覚で、しかも本当にパフォーマンスにつながる形で、取捨選択する。そういう能力を持っていらっしゃる方が多いなと感じます。
もし今、フォームに悩みがあって、なぜかうまく合わないというのであれば、もしかしたら、自分の骨格に今のフォームが合っていないだけかもしれない。こういう可能性があるわけですよね。
編集部
自分に合うフォームを知るには、まず何から見直せばよいでしょうか。
研究チーム
まず、自分はどんな骨格のタイプで、普段どんな動きの特徴がある人なのか、ということです。あえて「普段」といったのは、歩こうが、走ろうが、スポーツをしようが、フライパンでチャーハンを作ろうが、何をしても骨格は一緒だからです。その人に共通する特徴があるわけですよね。
これをある程度見つけていくことで、自分にとって最も自然で、パフォーマンスを発揮しやすく、怪我につながる負荷を減らすことを目指した動き、フォームを見つけていけると思います。
自分に合う動きを見直すことが、何かのきっかけになるかもしれないと思ってくださった方は、ぜひアスリート再生プログラム「リスタート」にお問い合わせいただけたらと思います。お待ちしています。

まとめ
一般的に良いとされるフォームを試して、感覚が悪くなった。その時、私たちが提案するのは、「自分にとって合う動きなのか」という視点を持つことです。
一人ひとりの骨格の個体差を踏まえ、アドバイスを試したうえで、自分の感覚やパフォーマンスにつながるかを見て選ぶ。競技のフォームだけでなく、普段の動きに共通する特徴にも目を向けながら、自分にとって自然な動きを考えていきます。

まずは、自分の骨格のタイプを
知るところから
「フォームを変えてから、感覚が合わない」「以前の動きに戻れない」。今感じている悩みや、試してきたことをうかがい、リスタートで何ができるかをお伝えします。
よくある質問
良いといわれたフォームなのに、しっくりこないのはなぜですか。
一般的に良いとされるフォームでも、自分に合うとは限りません。しっくりこない理由はさまざまですが、私たちは骨格の個体差に着目し、その人にとって自然な動きかどうかを見ていきます。
トップ選手と同じフォームを目指せばよいのでしょうか。
トップ選手と同じフォームが、自分にも合うとは限りません。同じ競技でも、骨格の違いによって自然な動き方は異なると私たちは考えています。参考にする時も、その動きが自分に合うかどうかを確かめることが大切です。
自分に合わないと感じたアドバイスは、どう考えればよいですか。
一度試して、動きの感覚やパフォーマンスがどう変わるかを確かめてみてください。そのうえで、自分に合うものを取り入れ、合わないものは手放すことも大切だと考えています。
監修・執筆

医療監修:高村 武光
鍼灸師/連動性シニアトレーナー
高校時代に腰椎分離症を経験し、リハビリをきっかけに医療の道へ。森ノ宮医療大学で鍼灸師(国家資格)を取得。サッカー・ソフトボール・テニス・パデルなど複数競技の日本代表を含むアスリートのトレーナーとして活動する一方、変形性股関節症・膝関節症など高齢者の症状にも対応。骨格の個体差にもとづく“連動性トレーニング”を修め、現行最上位資格「連動性シニアトレーナー」に認定される。医療専門職の育成も行う。

研究監修:伊藤 龍平
株式会社HUREC 代表取締役
医師・理学療法士・鍼灸師、トップアスリート指導者など身体の専門家で構成される研究団体HURECを組織し、10年以上にわたり骨格の個体差(先天的特質)を研究。その研究から「骨格動作タイプ」を16種類に体系化。各種競技のオリンピックアスリート、日本代表選手などからも多くの支持を受ける。

医学監修:烏山 司
スポーツ内科医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
スポーツドクターとしてアスリートの内科的サポートに従事し、株式会社HURECの医学顧問を務める。自身も高校時代にソフトテニスでインターハイに出場するなど、スポーツに高い関心を持つ。フルマラソンは2時間34分(市民ランナー上位0.5%)で完走。

