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「腰椎椎間板ヘルニアってどうやって治すの?」

2023.7.29

ヘルニア(hernia)は直訳すると「飛び出す」、「脱出」といった意味を持ちます。

身体の中にある組織が何かしらの原因によって本来の位置から飛び出た状態を「ヘルニア」と呼びます。

そのためヘルニアは腰椎だけではなく、身体の各場所で起こりえる疾患となります。

今回は「腰椎椎間板ヘルニア」に着目してどのような疾患なのか、連動性トレーナーはどのように治療、改善していくのかについて紹介していきます。

「腰椎椎間板ヘルニア」とは

概要

人の背中には計26個の背骨(頸椎が7個、胸椎が12個、腰椎が5個、仙骨、尾骨)が存在し、その一つ一つの間には椎間板と呼ばれる組織が存在しています。

椎間板は背骨に加わる力を吸収するクッションの役割を果たし、椎間板の内部には髄核と呼ばれる組織が存在し、その周囲は繊維輪により包まれています。

その髄核が何らかの原因によって後方もしくは側方の繊維輪を脱出して神経を圧迫し、症状が出たものを「腰椎椎間板ヘルニア」と言います。

原因

腰椎椎間板ヘルニアの一般的な原因には以下のものが挙げられます。

  • 長時間の座位姿勢
  • 重い荷物を持ち上げること
  • 激しいスポーツ動作重い荷物を持ち上げること
  • 過度な体重
  • 加齢に伴う椎間板の変性

症状

もっとも一般的な症状は腰痛と坐骨神経痛です。

腰や臀部の痛み、足にしびれや痛みが放散したり、力が入りにくくなります。

運動や労働によって痛みが憎悪し、安静にすることで軽減することが特徴です。

また、歩く際の姿勢が痛みをかばうために腰に手を当てたり前かがみになってしまったり、痛みにより背骨が横に曲がることで(疼痛性側弯)動きにくさを感じたり、重いものを持つ際に痛みが強くなることがあります。

診断方法

画像診断

単純X線(レントゲン)画像、MRIが主として行われます。

鑑別診断

腰や臀部に痛み、下肢のしびれや筋力低下など自覚症状が特徴的で、下肢伸展挙上テストが陽性である場合には「腰椎椎間板ヘルニア」を疑います。

一般的治療法

治療法としては保存療法と手術療法に分けられます。

保存療法

安静

痛みの強い急性期には痛みの強さに応じて日常生活を制限します。

薬物療法

痛みの強い急性期には、消炎鎮痛剤非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用、また硬膜外ブロックや神経根ブロックも有効です。

物理療法・装具療法

腰部を温める温熱療法、電気治療(TENS)、超音波療法、専用の牽引器を用い手腰椎を牽引する牽引療法などがあります。症状によっては装具療法としてコルセットをつけ、腰への負担を軽減させます。

運動療法

腰回りの筋力強化とストレッチにより、腰部の安定性と柔軟性を高めていきます。継続的に行うことで腰への負担が軽減し再発の防止にもなります。

日常生活の指導

正しい体の使い方と姿勢の維持は、腰椎椎間板ヘルニアの再発を防ぐために重要です。日常生活や職場での適切な姿勢、重い物の持ち上げ方、運動中の正しい動き方を指導していきます。

手術療法

手術を行わない保存的療法で改善が見られない場合、下肢の運動麻痺や排尿障害がある場合には手術が適応されることもあります。

術式としては、椎間板ヘルニア摘除術や変性した椎間を切除する、椎間板切除術などがあります。近年では身体への新種が少ない手術として顕微鏡や内視鏡を用いた切除術も行われています。こちらの手術は腰の筋肉への侵襲が少ないため、術後創部の痛みの軽減や早期の社会復帰の一助になると考えられています。

連動性療法の開発チームに聞いてみた「腰椎椎間板ヘルニアの原因と改善方法」

編集部

それではここからは、連動性療法の開発チームの皆さんに、連動性トレーナーが考える腰椎椎間板ヘルニアの原因と改善方法について伺っていきたいと思います。

開発チームの皆さん、よろしくお願いします!

開発チーム

腰椎ヘルニアというのは、腰痛の原因の中でもかなりよく聞く疾患であり、多くの方が知っている腰痛の1つではないかと思っています。

私たち連動性トレーナーが腰椎ヘルニアのお客様を治療していくにあたって、以下の2つの点を大切にしています。

それは①器質性疾患としての理解、②腰椎ヘルニアの原因の理解、です。

それでは1つずつ説明していきたいと思います。

器質性疾患としての理解

痛みには大きく分けて器質性疾患からくる痛みと機能性疾患からくる痛みの2つに分けることができます。

器質性疾患と言うのはレントゲンやCT、MRIといった医療機器によって画像診断されるものを指します。つまり医者によって診断される疾患になります。

一方で機能性疾患というのは、画像診断では映らず原因は特定できないけれども、実際には痛みがある状態を指します。つまり何かしらの不具合が腰に起きているような状態になります。

以上を踏まえ、腰椎ヘルニアと言うのは器質的疾患に当てはまります。ヘルニア(hernia)という言葉は、直訳すると「飛び出す」とか「飛び出る」といった意味を持つように、腰椎ヘルニアというのは、背骨と背骨をつなぎクッションの役割を果たす椎間板の内部が飛び出し、神経等を圧迫することによって痛みやしびれを生じさせる疾患です。

ヘルニアと診断されたならば事実として、椎間板が飛び出てしまっているということになり、私たちを含む治療家やトレーナーが直接的に器質的な疾患を解決するということは非常に難しいです。器質性疾患に対する対処となると、基本的には飛び出てしまった椎間板が引っ込み自然治癒するのを待つ、もしくは手術適応となります。

しかし、連動性トレーナーのもとに訪れた腰椎ヘルニアと診断されたお客様が連動性療法によって結果として患部の痛みが軽減したという症例は数多くあります。それらのケースの場合、私たちが改善したのは器質性疾患(患部の状態)ではなく、機能性疾患(私たちの場合は全身の連動性の低下)です。

私たち連動性トレーナーは、そもそも腰椎ヘルニアとなってしまった根本の原因は何か、つまりなぜ椎間板が飛び出てしまったのか、と言うことを考え根本の原因を改善していくことを強みとしています。

腰椎ヘルニアの原因の理解

事故などによって突発的に発症してしまった場合を除いて、基本的には飛び出てしまった原因があるはずです。つまり長年の何かしらの腰に負担のかかる動きによって「腰痛ヘルニア」と診断される状態にまでなってしまったと考えるべきなのです。そして飛び出てしまったということは、わかりやすく考えると腰に負担のかかる動きによって椎間板に圧力がかかっていたということになります。

一般的には、圧力がかかってしまう原因として重いものを持つことや、激しいスポーツ、場合によっては筋力低下などがあると言われています。ただ、実際には重いものを運ぶ作業をする人やかなり高強度のスポーツをしている人であっても腰椎ヘルニアにならない人もいるのです。つまり、腰椎ヘルニアになってしまう人となりにくい人が事実としているわけで、その違いは一体何なんだろうかと考えていくことが私たち連動性トレーナーの仕事であり、強みと言える部分であると考えています。

では、腰に過度な負担のかかるような体の使い方をしており、その状態が長年続いたことが原因であると考えた時、連動性トレーナーが評価する場所はどこでしょうか?

どこを評価するかと言うと、実は腰ではない他の部分なのです。腰はむしろ機能し過ぎと言えるほど機能していて、言い換えると動作において腰に仕事が振られ過ぎている状態とも言えます。

そして腰に仕事が振られ過ぎているということは反対に仕事を全然していない部位があると捉えることもできるのです。それは多くの場合、足関節や股関節周辺の機能、胸椎やその胸椎を動かすために働く肩関節や肘関節、手関節も含めた上半身の機能の低下が原因であると考えます。

例えば、何か重いものを持ち上げようと前かがみの姿勢になった時、全身の筋肉で動作が行えず腰ばかりで動作を行っていると、腰に折り目がついてしまうような動きになってしまいます。

腰に折り目がつくような動きと言うのは腰への負担がとても大きいです。この動き方を普段から習慣にしてしまっていると、長年の腰の使い過ぎにより経年劣化のような形になってしまい、最終的にはヘルニアと診断されてしまうほどに椎間板に圧力をかけ続けてしまったと言うことになります。

そのため、連動性トレーナーは治療の中で、この腰に負担のかかる動きから全身が連動して腰に負担が集中しない動きに根本的に改善させる、つまり腰以外の部分の機能を回復させることによって、腰に折り目が付かない動かし方に改善していくことを目標としています。 腰に折り目が付かない動かし方ができるようになっていくと、結果的には飛び出てしまった椎間板がへこむ場合もあるでしょうし、痛みが減る、無くなるといったことを期待することができます。

実際に連動性トレーナーであり、国家資格を持つ者たちが、腰痛椎間板ヘルニアの治療アプローチを、連動性療法を用いて行った際に痛みが大幅に減痛したり、無痛になったという症例はいくつもあります。このように、腰に負担のかかる動きをしているという根本の原因を改善して痛みを軽減させる、これが連動性療法の強みであると考えています。

編集部

開発チームの皆さん、ありがとうございました!

監修者からのアドバイス

「腰椎ヘルニアに効果的だった連動性トレーナーのアプローチ」

患者情報

  • 年齢 高校2年生(17歳)
  • 性別 女性
  • 主訴 腰痛、下肢の痺れ
  • 既往歴 なし
  • 医師の診断 腰椎椎間板ヘルニア(L4/5)
  • 過去の対処 病院でのリハビリテーション(マッサージ、投薬、筋力トレーニングなど)
  • 動作痛の種類 前屈・回旋・後屈全可動域にて動作痛あり。特に前屈での痛みが強い。

分析とアプローチ

胸椎屈曲の連動性を検査したところ連動性が低下していることを確認した。その部位の連動性を改善する効果検査をしたところ、痛みと痺れが軽減したため、胸椎屈曲の連動性が向上(動作に参加する関節や筋肉が増加)したことにより、患部に対する部分負担が減少したと考えた。その結果から、前屈動作を全身で行えるように、胸椎屈曲が改善する連動性トレーニングを用いてアプローチをした。

アプローチ例①

「スタンディングセレイタスプレス」

  1. 立位姿勢を取る(特に姿勢は意識せず、リラックスした状態で立つ)
  2. 腕を肩関節屈曲90度まで上げる
  3. (肘を拳一個分ほど前に出す意識で)腕を前に押し出す

アプローチ例②

「下向きチェストフライ」

  1. ベンチに手を置いて、身体を支える
  2. (手を反対の脇腹の奥に向かうようにして)腕を内転する

編集者 山田紘暉

 1999年8月5日愛知県大府市生まれ。名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業後、主に市民ランナーを対象とした膝痛根本改善トレーナーとして活躍。大学時代から、ランナー向けに発信してきたinstagram アカウントやまちゃん/山田紘暉|マラソントレーナーは、5400人にフォローされる人気アカウント。中学3年生の時に、腰椎分離症で中学校最後のレースを棄権、続く高校時代はシンスプリント、股関節・臀部の怪我などで、一度も満足な練習が積めず、記録を伸ばせなかった。そんな過去から、怪我なくスポーツを楽しみチャレンジできることに大きな価値を感じ、名古屋大学にて理学療法士を志す。理学療法を基礎としながらも、怪我の根本改善には、動作分析や動作改善が必須と考え、HUREC認定連動性トレーナーの資格も取得。在学中から、学生トレーナーとして仕事を初め、卒業と同時にフリーランストレーナーとして名古屋を拠点に活動。

 現在は身につけたトレーナーとしての技術を自分の身体にも実験し、一切の怪我を克服し、市民ランナーとしてもフルマラソンに挑戦中。自己ベストは2時間57分7秒。

【所得免許】

  • 理学療法士
  • HUREC認定連動性トレーナー

監修 村松剛至

1988年11月30日に大阪に生まれ。テニス専門・膝痛、腰痛に特化・口コミのみ、広告宣伝費0円のブランディングをし、月給3万円から年間売上1200万を達成。治療家として、のべ2万例以上の治療経験をし、テニス全日本選手権・テニス全日本ジュニア・全日本ベテランなど多数の大会にトレーナーとして帯同。その中でも実業団による日本最高峰の団体戦テニス日本リーグにて5年連続帯同日本3位を経験。

【取得免許】

  • 鍼灸師
  • 連動性トレーナー

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