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走っているときに腰が反ってしまうのは本当にダメなのか

2024.1.9

はじめに

ランニングはマラソンや陸上競技に限らず、様々なスポーツに関わる要素です。そして効率の良いランニングフォームを身につけることは様々な競技のレベルアップに関わる大切なポイントではないでしょうか?

本記事では、ランニングフォームの中でもアドバイスされることの多い『腰の反り』に焦点をあて、連動性トレーニングの開発チームの皆さんにインタビューしてきました。

理想的なランニングフォームとは

理想的なランニングフォームにはいくつかの要素があります。ここでは、①姿勢、②腕振り、③足の運びに分けて説明します。

姿勢

前傾姿勢

正しいランニングフォームの基本は、適切な体のアライメントから始まります。少し前傾姿勢を取ることで重心が適切に保たれ、効率的な運動が可能になります。この姿勢は重力を利用して推進する力を最大化し、膝や腰への負担を減らします。

良い姿勢を保つ

腰が過度に沿っている状態は一般的に好ましくないとされています。腰椎への負担が増え、腰痛の原因になり得ます。また、地面からの反力をもらえず、走行効率が低下してしまいます。

腕振り

走りのバランスを保つ

走りのバランスを保つために腕振りは重要な要素となります。肩の力が抜けてリラックスできていること、横振りにならず身体の側面に沿ってリズミカルに動かすことなどがポイントです。

推進力を得る

腕を振らずに走ることはできるでしょうか?恐らく多くの方が「走りにくい」と感じると思います。つまり、腕振りは前に進むために重要な役割を担っているのです。

足の運び

着地の種類

着地の種類には、かかとから着地する「ヒールストライク」、足裏全体で着地する「ミッドフット」、前足部で着地する「フォアフット」の3種類があります。これらの着地に中で自分に合った着地方法を見つけることが良いとされています。一方で過度なヒールストライク、過度なフォアフットは膝や腰への衝撃が強まりケガの恐れがあります。また、着地点は重心の下で行えることで地面からの反力を推進力に効率よく変換させることが可能になります。

立脚期:足の着地から離地まで

地面を蹴るというより押し出すような感覚で推進力を生み出すことができます。地面を蹴る動作が強いと「足が流れている」と表現し、前への推進力を効率よく作り出すことができていない状態です。

遊脚期:足の前方への振り出し

足がしっかり畳まれて膝を前に出す感覚で走ると余計な筋力を使わないで走ることができます。また、膝から下はリラックスして足を引き上げることがポイントとなります。

連動性トレーニングの開発チームに聞いてみた「走っているときに腰が反ってしまうのは本当にダメなのか」

編集部

「ここからは、連動性トレーニング開発チームの皆さんに、「走っているときに腰が反ってしまうのは本当にダメなのか」というテーマでお話を伺っていきたいと思います。

開発チームの皆さん、よろしくお願いします!

まず、陸上競技に関わらず、あらゆるスポーツにおいて走行動作は大きく競技力に関わってくる要素だと思いますが、走る時には腰を反らしてはいけないとアドバイスされることはよくあるかと思います。このようなアドバイスについて連動性の観点からはどのように考えられるのでしょうか?」

開発チーム

「はい、腰が反ってしまうことが良いのか、良くないのかという点についてまず初めにお答えしていこうと思います。結論からお伝えすると、腰は反らない方が良い、と考えています。ただし、『腰が反る』という状態をどう定義するか、と言うことが非常に重要なポイントとなります。

これは議論の余地なく多くの方が同意してくれることではありますが、人間にはやはり個体差があると考えています。この個体差というのは、特に先天的な個体差となります。

要するに、筋力不足や筋肉の硬直など、後天的な要因による不良で起きる個体差ではなく、骨格や筋肉の付き方など先天的に個体差が存在しているということを大事にしていく必要があると私たちは考えています。

先天的な骨格の違いからくる個体差を踏まえると、立位姿勢も人によって様々であると言えます。少し腰が丸まり気味の人や反り気味の人など、人によって姿勢は異なります。

では、どういった腰の反りが良くないのか、と言うことになりますが、『立位姿勢では見られなかった腰の反りがランニング時に見られる場合』となります。

人間の姿勢には個体差があるため、ランニング時の形だけを見るのではなく、立位姿勢のニュートラルな姿勢と比較して腰の反りが変化するか、と見るのです。立位時の姿勢と比較して走行動作になると腰が反ってしまうといった場合がありますが、こういった場合の腰の反りは良くない、と私たちは考えています。」

編集部

「ありがとうございます。立位姿勢の時よりも腰が反ってしまう場合の腰の反りは良くないということですね。ではなぜ、腰の反りが良くないと言えるのでしょうか?」

開発チーム

「そうですね、ランニングというのは片足ジャンプの連続とも言えますよね。つまり、効率の良いランニング動作というのは効率の良いジャンプ動作とも言い換えることができます。

そこで、効率良く地面からの反発をもらってジャンプすることを考えると、骨と骨の位置関係ができるだけ歪みのない本来的な場所に位置している状態であることが重要だと思うのです。本来的な骨のポジションというのは、人によって個体差がありますが、歪みの無い状態でジャンプすることが重要であることは共通していると考えます。

そして、立位姿勢での腰の反りと、走り出した時に作られる腰の反りが大幅に異なってしまうのは良くないと先ほどお伝えしました。なぜなら、立位姿勢の方がある程度その人にとっての本来的な形で立てているとするならば、走り出した時に生まれる腰の反りは良いポジションから外れてしまうことになるからです。

腰が反ってしまい、体幹部に折り目が付いてしまうということは地面から受けることのできる反発エネルギーをもらえなくなってしまい、また、負担も折り目部分に集中しやすくなってしまいます

そのため、エネルギーの伝達効率、身体への負荷という二つの観点から考えても、立位姿勢ではなかった折り目が付いてしまう、つまり腰の反りが起こってしまう、これは良いことではないと考えています。」

編集部

「ありがとうございます。最後に先天的な個体差とはどういったものなのか少し詳しく教えていただけますか?」

開発チーム

「腰の反り、という観点でお話しさせていただくと、立位時の姿勢における腰の反り具合は人によって異なるということになります。先天的な個体差によって胸椎が丸まりやすい人や反りやすい人、腰椎が丸まりやすい人や反りやすい人といるわけです。

例えば陸上競技の女子1500mの元世界記録保持者でゲンゼべ・ディババ選手という方がいますが、彼女は走っているときかなり腰を反った状態で走るのですね。そして立位の状態でも既に腰は反っていると思います。

ランニング動作で腰が反っていたとしても元々の立位の姿勢から腰が反っているのであれば、元々そういう骨格をしていてランニング中でも腰が反っているだけであるため、全く問題はないと言えます。

では、アフリカ系の選手は腰が反っているケースが多いですが、アフリカ系の選手は良くて、日本人は反っている状態は良くないのかというと、そうではないです。日本人の中にもやはり個体差はありますよね。

歪みのない子どもの時から立位の状態でかなり腰が反っている人もいれば、そうではない人もいるのです。そのため、一概に腰の角度を見ただけで、腰の反りを判断するというのは適切ではないと私たちは考えますね。

まとめると、『腰の反り』を見ていくときに考えるべき1歩目は骨格になります。つまり、その人は生まれながらにしてどのような立位姿勢がニュートラルなのかと言うことを考える必要があるのです。

低年齢の子どもやパフォーマンスが高い状態にある人に対してはこのような考え方のみで良いのですが、年齢を重ねてきた大人に対しては少し複雑になってしまいます。

どういうことかと言いますと、年齢を重ねていくうちに収縮できない筋群が身体のいたるところで生まれてしまい、歪みや硬さが生まれてきてしまうと言うことです。

私たちは『連動性が低下する』と表現しますが、連動性の低下によって歪みや硬さが出てくると、もともと持っていたニュートラルな姿勢ではなくなってしまうのですね。

そのような場合には、まず初めにある程度歪みを取っていく必要があります。全身の連動性を向上させていくことでニュートラルな姿勢をある程度回復させていくことが大事です。

そして、前傾姿勢を取ったり、走動作になってもそのニュートラルな姿勢が崩れないようにしていく、ということが次のステップとなるわけです。

少し複雑に聞こえてしまったかもしれないですが、このように考えていくと、腰の反りに対して、アプローチは迷わなくなるのではないかと思います。」

編集部

「開発チームの皆さん、ありがとうございました!」

監修者からのアドバイス

「ダメな腰反りと良い腰反り」

▷良い腰の反り
▷ダメな腰の反り

編集者 山田紘暉

 1999年8月5日愛知県大府市生まれ。名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業後、主に市民ランナーを対象とした膝痛根本改善トレーナーとして活躍。大学時代から、ランナー向けに発信してきたinstagram アカウントやまちゃん/膝痛専門ランニングトレーナーは、5500人にフォローされる人気アカウント。

 中学3年生の時に、腰椎分離症で中学校最後のレースを棄権、続く高校時代はシンスプリント、股関節・臀部の怪我などで、一度も満足な練習が積めず、記録を伸ばせなかった。そんな過去から、怪我なくスポーツを楽しみチャレンジできることに大きな価値を感じ、名古屋大学にて理学療法士を志す。理学療法を基礎としながらも、怪我の根本改善には、動作分析や動作改善が必須と考え、HUREC認定連動性トレーナーの資格も取得。在学中から、学生トレーナーとして仕事を初め、卒業と同時にフリーランストレーナーとして名古屋を拠点に活動。

 現在は身につけたトレーナーとしての技術を自分の身体にも実験し、一切の怪我を克服し、市民ランナーとしてもフルマラソンに挑戦中。自己ベストは2時間53分20秒。

【所得免許】

  • 理学療法士
  • HUREC認定連動性トレーナー

監修 村松剛至

1988年11月30日に大阪に生まれ。テニス専門・膝痛、腰痛に特化・口コミのみ、広告宣伝費0円のブランディングをし、月給3万円から年間売上1200万を達成。治療家として、のべ2万例以上の治療経験をし、テニス全日本選手権・テニス全日本ジュニア・全日本ベテランなど多数の大会にトレーナーとして帯同。その中でも実業団による日本最高峰の団体戦テニス日本リーグにて5年連続帯同日本3位を経験。

【取得免許】

  • 鍼灸師
  • HUREC認定連動性トレーナー

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