比嘉 明人(ひが あきと)
1982年生まれ
テニス選手
【経歴】
- 全国小学生大会 優勝
- 全日本ジュニアU12 優勝
- 全日本ジュニア室内選抜大会 優勝
- インターハイ ベスト4
- インカレ ベスト8
- 全日本選手権ダブルス ベスト4
- 山梨甲府フューチャーズ(ダブルス)優勝
- 全日本ベテラン選手権(35歳以上)シングルス優勝
- ベテランJOPランキング(35歳以上)1位(2025年4月)
- 2026年ITFマスターズツアー世界選手権 団体戦日本代表

プログラムを始める前、比嘉選手が一番強く感じていた課題は何でしたか?
一番大きかったのは、年齢を重ねる中で、このまま競技力が落ちていくしかないんじゃないか、という感覚でした。
自分の中では、まだ上を目指したい気持ちがあるのに、20年以上解決できていない課題を抱えたまま競技を続けている感覚がありました。
その象徴が、バックハンドでした。得意なフォアハンドとは対照的に、バックハンド、特にバックのストレートは20年間ずっと打てないままでした。自分の中で唯一、手をつけられなかった場所です。
同じ相手と何度も対戦することも多いので、打てないところは確実に読まれます。そこを狙われて、試合の組み立てそのものが崩されてしまうことも何度もありました。
どれだけ練習して、どれだけトレーニングを積んでも、そこだけは20年間どうやっても抜けませんでした。それが一番苦しいところでした。
それに加えて、練習やトレーニングを積み上げるほど、体に痛みが出てしまうというのも大きな問題でした。ぎっくり背中になったこともありますし、慢性的な背中の痛みを抱えていて、競技自体ができなくなる時期もありました。治療の先生から「いつも背中が張っているね」と言われ続けていましたし、フォームを意識して取り組んでも、背中の痛みは消えることなく何年も繰り返していました。
その課題に対して、これまでどのような取り組みをしてきましたか?
ウエイトトレーニング、体幹トレーニング、ファンクショナルトレーニング、インターバルトレーニングなど、できることは何でもやってきました。自分はどちらかというと追い込めるタイプなので、自分なりにしっかりやってきたつもりです。
技術的なこともかなり試しましたし、トップ選手のフォームや振り方を真似したこともあります。フォームも意識して取り組んできました。
それでも、結局のところ、バックハンドの問題は根本的には何も変わりませんでした。20年やってきて、手応えがあったと言えるものはほとんどなかったです。背中の痛みも同じで、出るたびに対処はしてきましたが、痛みの根本が消えることは一度もありませんでした。
そのような中で、HURECのプログラムを始めようと思った理由は?
競技を続けていく中で、自分の中でもここから先どうしていくかを考えていた時期でした。年齢を重ねるごとに新しい選手も出てきますし、テニス自体もどんどん変わっていきます。20年抱えてきたバックハンドや背中の痛みといった課題を抱えたまま、その変化に対応しきれなくなっていく自分が見えていました。
このまま同じことを繰り返しても、また同じところで止まる。そう感じていた時に、お世話になっているコーチから声をかけてもらいました。そのコーチ自身がこのプログラムを受けて坐骨神経痛が改善していたこともあって、勧めてくれたんです。
自分が求めていたのは、何かを意識して無理にやることではなくて、無意識の中で自然に打てる状態なんだと思いました。20年かけても自分一人では見つけられなかったところを、もう一度つくり直したいと思ったことが、始めた一番大きな理由です。
年齢を重ねることで競技力やフィジカルが下がっていく流れに、このまま乗りたくないという思いもありました。むしろ逆に、今までよりもっと競技力を高めたいという気持ちが強かったです。
実際に取り組んでみて、どのような変化を感じましたか?
一番大きかったのは、ずっと課題としていたバックハンドが、無意識でも自然に打てるようになってきたことです。昔はバックハンドで打てないコースがあることで試合が苦しくなっていましたが、今はそこがかなり変わってきました。
フォアハンドはもともと得意で、何も考えなくてもしっかり回旋できて、当たる感覚も良かったんです。そこにバックハンドを近づけたいという思いが最初からありました。一番良い感覚で打てていた時を100だとしたら、当時のバックハンドは40点くらいの感覚しかありませんでした。それが今は、80点くらいまで出せている感覚があります。
フォームについても、ずっと見てもらっている人から「全然違うね」と言われることがありますし、自分でもそう感じています。特に大きいのは、力み感が減ったことです。力まず、ラケットをしなやかに振れている感覚があります。
そして、背中の痛みについても改善されています。以前はトレーニングをしても練習をしても背中が張る感覚があったんですけど、今はウエイトトレーニングもインターバル系のトレーニングも続けていますが、背中の不調は全くありません。
テニスは個人競技なので、負けるたびに、自分がやってきたこと自体を否定されたような感覚になります。20年間、その繰り返しの中にいました。それが今は、競技パフォーマンスが上がっている実感に変わっていますし、自分が設定している目標にちゃんと近づいている感覚もあります。だからこそ、次の課題にも前向きに取り組めていますし、40歳を超えた今でも、まだ上を目指せると思えています。
なぜ今回、40歳を超えた今でも変わることができたと感じていますか?
一番大きかったのは、自分の骨格タイプに合った動きやトレーニングがあると知れたことだと思います。
始める前は、タイプがあるということ自体よく分かっていませんでした。フォームは人それぞれ違うと思っていましたが、なぜ違うのかまでは理解できていなかったです。
実際に取り組んでみると、以前やっていたトレーニングの中でも、うまくハマっていた時の動きというのは自分の骨格に合っていたからなんだ、と後からつながる感覚がありました。逆に、合わない形を続けていた時は迷いもあったし、不調や怪我にもつながっていたんだと思います。
振り返ると、一番イメージ通りに、思い通りに体が動いていたのは小学生や中学生の頃でした。大人になってからは、その感覚をずっと再現できないままでした。今は、その頃に近い感覚にかなり戻ってきている実感があります。長年取り戻せなかった感覚が、また自分の中に戻ってきた、という感じです。
今は、自分のタイプに合った形で取り組めているので、すごくスムーズに振れていますし、何より迷いがありません。迷わないというのがすごく大きいですね。自分の個体差に合った動きを取り戻していくことが、バックハンドの改善にも、背中の不調の改善にもつながり、結果として今でもパフォーマンスを上げ続けていられているのだと思います。
最後に、年齢や長年のスランプに悩むアスリートへメッセージをお願いします。
その競技が大好きだからこそ、長く続けたい、もっとパフォーマンスを上げたいと思っている選手が多いと思います。だからこそ、健康な状態で、怪我なく続けられることはすごく大事だと思います。
年齢を重ねると、怪我をした時にやっぱりパフォーマンスは落ちやすくなると自分でも感じています。だから、怪我が少ないこと自体がすごく大きな価値だと思いますし、その上でパフォーマンスが上がっていくと、競技に対してもっと前向きになれます。
20年解決しなかった課題が、年齢を重ねた今になって変わっていくとは、自分でも思っていませんでした。私自身、自分の骨格に合った動きを身につけていったことで、怪我なくパフォーマンスを上げていくことができています。長年同じところで足踏みして、このまま終わるのかと感じているアスリートには、まだ変われる可能性があることを、自分の経験から伝えたいです。


