山本 翔太郎(やまもと しょうたろう)
2008年生まれ
テニス選手
【経歴】
- 全国大会 ベスト8(ジュニア期)
- 関西ジュニア ベスト8(2025年)
- 関西ジュニア 準優勝(2026年)
- 2026年 所属クラブ主催の一般大会 優勝
プログラムを始める前、山本選手が一番強く感じていた課題は何でしたか?
一番の課題は、フォアハンドが打てなくなったことです。もともとフォアは得意で、中1の最初の頃までは全国ベスト8まで行っていました。それが、打てなくなったんです。
始まりは中1のとき。コロナでまともにテニスができず、ずっと家にいるうちに、1年で身長が15センチくらい伸びました。そうしたら、距離感も、目線も、重心の高さも変わって、どうやって打てばいいのか分からなくなった。良くなったり悪くなったりを繰り返して、完全に分からなくなったのが中3の終わり頃です。腕に力が入る、距離感がつかめない、足の使い方がバラバラ——いろんな悩みが重なりました。
ひどいときは、フォアで空振りしたり、ボールがネットに届かなかったり。試合では「フォアを狙え」と狙われて、それがずっとストレスでした。周りからも「もう終わったね」と言われて。会場で、試合を見ながら、後ろから、相手選手の親からも言われることがあって、正直ずっと辛かったです。「テニスを辞めたい」「何のためにこんなきついことをやってるんだろう」と、そればかり考えていました。
その課題に対して、これまでどのような取り組みをしてきましたか?
自分と同じくらいの身長や腕の長さの選手の動画を見て、真似したり。ボールキャッチや、腕を正確に動かすトレーニングもやりました。坂本怜選手のフォームを一時期真似していた時期もあります。
でも、いま振り返ると、一番の問題は、フォームだけを意識していたことでした。足や体の使い方は無視して、ただ形だけを真似していた。だからうまくいかなかったんだと思います。やった日や翌日は「いいな」と思えても、1〜2日休むと感覚がなくなって、「あれ、どうやって打ってたっけ」とフォーム自体を忘れてしまう。それがずっと繰り返されていました。
そのような中で、HURECのプログラムを始めようと思った理由は?
もう何をしても無理だな、という気持ちでした。所属クラブのコーチから熱心に紹介してもらって、「これで無理だったら、もう諦めよう」というくらいの覚悟で始めました。
正式に始める前に、一度体験を受けさせてもらったんです。そこで簡単な調整を一つ教わって、それを1ヶ月くらい続けただけで、腕の力が抜けてくるのが自分でも分かるし、周りからも分かるようになってきた。それまでは「その日だけ」で戻っていたのが、今回は日に日に良くなっていく感覚があって。それで、「信じてやってみよう」と思えました。
実際に取り組んでみて、どのような変化を感じましたか?
一番は、ストレスなく自由に自分のプレーをするために、フォアハンドが生きているという感覚です。
ミスの数がまず変わりました。以前はひどいと1試合に10回くらいフォアのミスがあったのが、始めてから2回、1回とどんどん減って。今は「なんでミスったのか分からない」ミスがなくなって、「これが悪かったんだ」と自分で修正できるミスに変わりました。打つときに腕の力が抜けて、足や体の動きが自分のタイプに合ってきて、「自分の形」になってきた感覚があります。
プレーの幅も変わりました。前はスライスだけで勝負していたんですが、今はスライスで無理をせず、自分のストロークで相手を崩してから、得意のネットプレーに行けるようになってきました。
試合結果にも出ています。今年2月に所属クラブの一般大会で、決勝の相手は全国優勝・準優勝経験のある選手だったんですが、勝って優勝できました。「やってることは間違ってないんだ」と自信になって。3月はタイの試合で世界300位・200位くらいの選手に勝てて、5〜6月のUTRのプロ大会でもプロ出場経験のある選手に勝てた。そして7月の関西ジュニアで準優勝。どんどん自分が進化できているのが、明確になってきています。
メンタルも変わりました。気持ちの浮き沈みや、「やってらんない」という投げやりな気持ちがなくなって、「こういうミスをしたから、次はこうしよう」と次を考える思考になりました。一時期はテニスから離れようとまで思っていましたが、今は——楽しいです。周りからも「フォア良くなってるね」「力強くなった」「安定してるね」と、いい言葉が増えてきました。
なぜ今回、変わることができたと感じていますか?
自分の骨格タイプを知れたことが、いちばん大きかったと思います。僕は「始点5・力点7」——下半身優位で、軸動作をメインに使うタイプでした。
それまでは、フォームだけを真似していました。足や体の使い方は無視して、形だけを追っていたんです。だから、自分がバラバラだった。上半身で何とかしようとすると、腕に力が入って、思っている動作と違う動きになってしまう。
自分のタイプを知ってからは、「モデルにすべき選手」や「自分にとっての正解の動き」が分かるようになりました。分からなくなっても、その選手の足の動きを何度も見て真似して、調整すれば戻せる。バラバラだった自分が、なくなったんです。しかも、その調整が簡単で、器具もいらないし、家でもどこでもできる。だから「めんどくさい」と思わなくなって、やらない日がなくなりました。以前は3日坊主だったのが、続くようになった。練習を始めてから自分の感覚になるまでの時間も、どんどん早くなっています。問題はフォームじゃなかった。ただ、自分の体に合った動かし方に出会えていなかっただけなんだと思います。担当のトレーナーの方とのセッションでも、毎回その場でビフォーアフターを実感できるので、「これで合っているんだ」と確かめながら続けてこられました。
最後に、同じように長年のスランプに悩むアスリートへメッセージをお願いします。
近い目標は、8月末から9月にある全国大会で優勝すること。最終的には、プロになってグランドスラムに出場して、みんなに応援される選手になることです。そのために、まだ100%自分の体を扱えているわけではないので、自分の骨格に合ったトレーニングを続けて、体を作っていきたいです。
同じように長期のスランプで悩んでいる選手に伝えたいのは、まず自分の体に合った動きや特徴を知ることが大事だ、ということです。それを知ることで、自分のモデルや「どうやればいいのか」が分かるようになる。何より最初に、自分の体を知ってほしいと思います。
よくある質問
フォームを直しても、怪我や調子がなかなか上がらないのはなぜですか?
怪我やパフォーマンスの低下の原因は、フォームそのものではないことが少なくありません。人の体は生まれ持った骨格タイプ(個体差)によって、動き方が一人ひとり違います。だから、誰かの「正しいフォーム」をなぞっても、それが自分のタイプと合っていなければ、怪我やパフォーマンス低下につながる可能性があります。フォームという「形」を変える前に、まず自分の体がどう動くタイプなのかを知ること。それが、怪我を減らし、パフォーマンスを取り戻していく出発点になります。(痛みや違和感がある場合は、まず医療機関での確認を優先してください。)
練習した日は良くても、数日たつと感覚がなくなってしまいます。どうすればいいですか?
「その日だけ」で消えてしまう感覚は、頭で形を意識してつくった動きであることが多いです。意識してつくった動きは、意識が外れると戻ります。一方で、自分の骨格タイプに合った動きは、力まなくても自然に出るため、意識し続けなくても再現でき、崩れてもすぐに戻せます。つまり必要なのは、良かった感覚を毎回“覚え直す”ことではなく、自分の体に合った動きそのものに“つくり替える”こと。合っている動きは、放っておいても身体に残っていきます。
取材・編集情報
取材協力
山本翔太郎(テニス選手/グリーンテニスプラザ)
取材・構成
HUREC編集部
研究監修:伊藤龍平(いとう たっぺい)
株式会社HUREC 代表取締役。テニス競技出身、テニスコーチ歴約20年。医師・理学療法士・バイオメカニクスの専門家との共同研究をもとに、骨格の個体差(16タイプ/始点理論)に基づく連動性トレーニング・連動性療法を開発。延べ2,000名以上を指導。
医療監修:高村 武光(たかむら たけみつ)
株式会社HUREC 講座運営事業部マネージャー。高校時代に脊椎分離症を経験し、リハビリをきっかけに医療の道へ。森ノ宮医療大学で鍼灸師(国家資格)を取得。サッカー・ソフトボール・テニス・パデルなど複数競技の日本代表を含むアスリートのトレーナーとして活動する一方、変形性股関節症・膝関節症など高齢者の症状にも対応。医療専門職の育成も行う。
【取得免許】鍼灸師(はり師・きゅう師)/HUREC認定連動性トレーナー

